変圧器と変流器は同じか?2
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変流器の二次を開放するとどうなるか
知っている人も多いと思うが、変流器の2次開放は禁止されている。
理由は高電圧が2次コイル間に発生し、コイルの絶縁破壊、焼損の恐れがあるためだ。
ではなぜ高電圧が発生するのか。
変流器の電流変換の式
一次と二次の電流比は巻線の逆比になっているという式である。
以前にも述べてあるが変圧器と変流器は基本的に同じ構造であるので、この電流が変換されている裏で電圧も変換されている。
まずこの式だけで高電圧が二次に発生することについて考える。
変流器は大電流を小さく変換するために使われる事が多く、この場合一次が貫通型の構造になっており、2次巻線が数百~数千ターン巻かれている。このときの巻数比は(一次:二次)=(1:数百~数千)となるわけである。上の式のN2/N1=V2/V1の部分を見ればわかるが、一次電流が数百~数千分の1に変換されている裏で、一次電圧が数百~数千倍されるということである。
しかし、これだけでCTの二次に高電圧が発生すると言ってしまうのはまだ早い。
一次が貫通型と言っているので一次は1ターンであり、ほぼ短絡されている状態。つまり一次電圧は極めて低い。数百~数千倍しようが、絶縁破壊を起こすような高電圧にはならないのではないか?という疑問がある。
これを説明するには、さらにインピーダンスの関係を導く。
巻数比を2乗したものがインピーダンスの比になっているという関係である。
今、都合よくこの式を解釈すれば、
2次コイルに接続されているインピーダンスがすごく縮小されて1次側に現れる、
ということになる。
今考えている変流器の2次は開放されており、インピーダンスは数百MΩと言える。これが巻数比により何分の1かになる。一次側にはそのインピーダンスが現れ、そこに大電流が流れる。そこには短絡状態と言えど、ある程度電圧が生じるのである。
結果としてこの電圧が巻線により昇圧され、2次コイルに高電圧が生じることとなる。
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まとめ
変流器も変圧器も基本的には、
の関係式を成立させているはずである。
ただし漏れインダクタンスや巻線抵抗の影響で、完全にこの式通りにはならない。
変流器の2次を開放したときに高電圧が生じるのは2次巻線の巻数がとても多いからである。